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錦鯉の飼育方法

錦鯉は非常に丈夫で長寿な魚です。病気や事故などがなければ70年以上も生きると言われています

水槽では10年以上、池だと30年以上が平均寿命と言われ、過去に日本で最も長生きした個体は「226歳」という記録が残っているそうです

丈夫な魚のため、一般的な観賞魚の飼い方を知っていれば、特に飼育が難しいといったこともありません

本ページで挙げる飼育方法は、ペットのデパート東葛で錦鯉を購入される方へご説明させていただいている内容となります。より詳しい飼育方法は、錦鯉をお買い上げになられた店舗にたずねたり、専門の飼育書もご参考にしてください。最近の錦鯉の飼育書も合わせてご紹介いたします。

正しく飼育し、どうぞ長生きさせてあげてください

錦鯉図鑑

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錦鯉とは?

200年の文化

錦鯉(ニシキゴイ)は古くから日本で飼育され、丈夫で飼育しやすく見栄えも大変鮮やかで綺麗なため、日本人に親しまれてきた観賞魚の1種です。その歴史は江戸時代(1800年代ごろ)が起源とされ、現在に至るまで約200年間日本人に愛されてきました。近年では海外での関心が高まり、アメリカやヨーロッパ、アジア圏などで大変人気のある観賞魚となっています。現在では日本国内に限らずヨーロッパや中国、東南アジアでも盛んに養殖が行なわれ、品評会も精力的に開催されており、一つの「文化」としての一面を担うほどの規模になっています

起源

錦鯉の起源は、江戸時代の文化・文政期に新潟県の二十村郷と呼ばれる山間部で行なわれていた食用鯉の養殖の中で、突然変異で生まれた赤色などの色のついた鯉だと言われています。その変わった色の鯉同士を掛け合わせて様々な色の鯉が生み出され、現在のような鮮やかな色をした錦鯉たちが確立されていきました。大正時代に東京での大きな博覧会で新潟の色鮮やかな鯉たちがお披露目され、それから錦鯉は世間に広く知られるようになり日本で馴染み深い観賞魚となっていくことになりました

錦鯉の飼育書

大きく育てる・小さく育てる

巨大な水槽や池が無くても飼育できる!!

ご存知の方も多いと思いますが、錦鯉は成長するととても大きくなる魚で最大で1mを超えることもあります。ということは、錦鯉を飼うにはとても大きい容器や池が必要になるので、一般的な家庭では飼育できないのでは?と飼育を諦めている方もいらっしゃるかと思います。しかし、錦鯉は環境に合わせて体の成長をコントロールできる生き物なので、60cm以下の水槽等でも十分飼育することが可能なのです。厳密に言うと、飼育容器の容量に対して何匹飼育するかである程度大きさをコントロールすることができます。錦鯉を小さいまま容器を大きくしないで飼育するには、ある程度過密な状態を保つことが必要です。また、給餌が偏ると大きい個体・小さい個体が出てきてしまい密度のバランスが崩れ、大きく育った個体をもっと大きい容器に移さなくてはいけなくなってしまいます。それを防ぐために均等に給餌できるためのエサなども販売されているため、そういったものを使用することで上手に水槽での飼育を楽しむことができます

大きく育ててその優雅さを楽しむのが錦鯉の醍醐味とされることも多く、実際にとても魅力的です。一方で限られたスペースで自分なりに錦鯉飼育を満喫するために、あえて大きく育てずに水槽飼育で美しく育てるのもまた一興です。当店では、お家で手軽に飼育できるサイズでの飼育を推奨しています

それでもやっぱり錦鯉を大きく育てたい!!

とは言うものの、十分に成長して体幅があるどっしりとした大きな錦鯉を飼育するのに憧れる方も多いと思います。場所の確保や大きな容器・ろ過器が用意できる方であれば、大きい錦鯉の飼育も可能です。ただし、池や大型の水槽などは一般的なガラス水槽(60cmくらいまで)に比べてかなり高額ですし、それに見合ったろ過器も容器と同等か倍額ぐらいの価格になります。60cmくらいの水槽で飼育する場合、器具類全部揃えても2万円以下で収まることがほとんどですが、大型の容器の場合は総額で数十万円~100万円近く(あるいはそれ以上)になることがありますので、予め予算を決めた上で飼育する錦鯉の大きさを考えましょう

錦鯉を飼うための準備

錦鯉の飼育に必要な主なアイテムをご説明します

容器

ガラスやアクリル製の水槽、プラスチック製の池やFRP(繊維強化プラスチック)製の容器など。容器の容量によって、飼育できる錦鯉の匹数や大きさが決まるので目的にあったものを用意しましょう。また、錦鯉は力が強く容器から飛び出してしまうことが多々あるため、しっかりしたフタやおもりも用意しましょう

ろ過器

水槽など比較的小さい容器の場合は、投げ込み式フィルターや上部フィルターなどを、屋外で大型の池やFRP容器の場合は、池用のウォータークリーナーを用意しましょう。前述の通り、錦鯉は非常に水を汚すため外部式フィルターや外掛けフィルターなどの動力部やろ過槽が詰まりやすいフィルターより、構造がシンプルなもの方がオススメです

ポンプ

錦鯉は比較的酸欠などに強い種類ではありますが、健康的に飼育するためには酸素が十分にあった方が良いです。ろ過器だけでもある程度の酸素は供給できますが、エアーポンプなどを使いしっかりとエアレーションを行ない、溶存酸素が豊富な飼育水を作ってあげましょう。また、大きな容器で飼育する場合は水が滞留する場所ができてしまいがちになり、その部分の水が劣化して全体の水質が悪くなることがあります。水中ポンプなどを使用して水の滞留を防ぎましょう

保温器具

錦鯉は適水温範囲が広いためヒーターなどの保温器具は必需ではありませんが、急激な水温変化には弱いためヒーター使える環境ならば用意しておいた方が管理が楽になります。また病気が出た場合、水温を上げて行なう「昇温治療」という治療法があるため用意しておいて損はないでしょう。ヒーターを用意する場合、温度固定型のタイプではなく自分で温度が設定できる温度調整型のタイプを選んだ方が良いです

屋外で飼育する場合はヒーター等で保温することは難しいため、極力温度変化の少ない場所に飼育場所を設定してあげましょう。また、夏場の高水温にも弱いため、屋内で飼育する場合で飼育容器を設置する場所で空調管理ができない場合には観賞魚用のクーラーを用意する必要があります

エサ

各観賞魚メーカーから、多くの種類の錦鯉専用のエサが発売されています。安価なものから高価なもの、体を大きくするための高栄養なものや低水温時用の消化の良いもの、水槽内で生体を大きくさせないためのものまで実に様々な特長を持った商品があります。飼育者の目的に合わせたエサを用意して、錦鯉が健やかに育つように正しい給餌をしてあげましょう。また、複数種類用意してあげて状況に応じて使い分けるのもオススメです

水質調整剤

水道水を使用する場合、消毒用に入っている塩素は錦鯉にとって有毒ですので、カルキ抜き(中和剤)が必要になります。また、病気予防のための粘膜保護剤や塩浴用の岩塩や荒塩なども用意しておきましょう。さらに、エサの食べ残しや糞による水質悪化を改善するためのコンディショナーやpHを弱アルカリ性に保つための牡蠣殻やpH調整剤なども持っておくと便利です

水質

水温

錦鯉は適水温が広く10~30℃くらいの間で生存することができます。  ですが、低水温だとエサの食べが落ち、高水温だと水の悪化が早まり酸欠にな りやすくなるため、22℃前後で管理するのが良いでしょう

pH

錦鯉に適したpHは6.5~7.5の範囲と言われていますが、病気や肌荒れの予防、発色の美しさを保つには弱アルカリ性の7.2程度が最適です。市販の観賞魚用牡蠣殻や錦鯉専用のpH調整剤などを使い、適切な水換えと並行して弱アルカリ性の飼育水を保ってあげましょう

日常のお世話など

給餌について

※ 錦鯉のエサの与え方は、水温に大きく影響されるため、季節に応じて量や回数を変えていきます

錦鯉はよく餌を食べる魚ですが、胃を持たないため消化が上手ではありません。そのため、一度に大量のエサを与えると、消化不良を起こすことがあります。また、食べ残しは水質を悪化させる原因にもなります

一回の給餌には5分くらいで食べきれる量を与え、それを1日に1~3回の範囲で与えるのが理想です

水換え

糞の量が多いため、水換えをしないと水質が悪化します。錦鯉は比較的悪環境にも強い方ですが、過度に汚れた水から急にピカピカの綺麗な水に変わったり、水温が大きく変わると病気になったりします。そのため、水槽や池の水の汚れ具合を見て、「1週間」や「2週間」と周期を決めて定期的に水換えを行なうのが良いでしょう。その際、換える水の量は全体の半分ほどにし、新しく入れる水の温度はもともと入っている水の温度に極力近い方が錦鯉に負担が少ないので、可能であれば水温計などで測ってから入れるようにしましょう

日々の観察

観賞魚の中でも比較的丈夫で飼育しやすい錦鯉ですが、水温・水質の急激な化や水質の悪化、また季節の変わり目などには病気に罹りやすくなります。病気を放っておくと、見る見るうちに悪化して死んでしまうことも多いので、病気を早く見つけてすぐに治療できるように日ごろから生体をよく観察し、魚病薬を常備してすぐに治療を開始できる準備をしておきましょう

かかりやすい病気と治療法

どんなに水質や温度に気を付けて飼育していても、錦鯉を飼育していく上で病気に絶対にならないということはまずありません。特に季節の変わり目で水温が変わりやすい時期や夏場の高水温時は病気が出やすいものです。病気を治すためには、適切な薬を使い早期発見・早期対処が原則なので、予め錦鯉が罹りやすい病気に対する魚病薬を用意しておきましょう

白点病

寄生虫(繊毛虫)の一種が引き起こす病気で、錦鯉の体の表面に1mm程度の白い点のようなものが複数現れます。急激な温度変化などにより、錦鯉がストレスを感じ免疫力が下がると発症することが多いです。 原因となる寄生虫の活動が活発になるのが25℃以下の水温時のため、ヒーターなどで水温をあげるのが有効です(現状の温度から1日に2~3℃ずつ上げていき、最終的に32℃程度まで昇温する。)また、発病中の飼育容器内には原因となる寄生虫が増殖しているため、換水して水ごと寄生虫 を排除して数を極力減らしてください。同時に以下の薬による薬浴を行なうことで、1~2週間で完治します

グリーンF白点病、水生菌症、尾ぐされ症状ならびに細菌感染症の治療と予防に。 本品5gを水量30~40Lに溶かし、薬浴する。薬効は5~7日間
グリーンFリキッド白点病、水生菌症、尾ぐされ症状ならびにスレ傷の治療と予防に。本品50mlを水量約60Lの割合で薬浴する。薬効は5~7日間

イカリムシ症

その名の通り船の錨のような形状をした「イカリムシ」という寄生虫による病気で錦鯉の体表やエラ、各ヒレなどにこ寄生虫が突き刺さり、患部から細い紐のようなものが突き出ているように見えます。頭部は錦鯉の肉やヒレの内部に入り込んだ状態になり、その場所が充血したようになります。寄生された生体は、石や砂利などに体をこすりつけたり泳ぎ方に異常が出たりします。また、患部から二次的な細菌感染を起こすこともあるので、早めに治療を行ないましょう。対処としては、寄生しているイカリムシを頭部ごと取り除くこと(肉の中にめり込んでいるため頭部が中に残らないように除去する)と飼育水中の個体を取り除くために換水をし、薬浴をさせましょう

レスバーミン不快害虫の幼虫の脱皮を抑制する駆除剤です。 水量100Lあたり0.4~1gを適宜水で希釈してから水槽などに投入してください

ウオジラミ症

「チョウ」という薄い円盤状をした甲殻類が体表に寄生し、錦鯉の血液を吸います。チョウ自体が薄茶色のゼラチン質の体のため、錦鯉の体表の所々に不自然なゼリー状の膨らみが出来ていたら、ウオジラミ症の可能性が高いです。対処はイカリムシ症と同じで、寄生虫本体の除去と換水、レスバーミンによる薬浴が有効です

レスバーミン不快害虫の幼虫の脱皮を抑制する駆除剤です。 水量100Lあたり0.4~1gを適宜水で希釈してから水槽などに投入してください

眠り病

当歳(その年に生まれた0歳の錦鯉)や若い鯉によく見られる病気の1つで、特に冬場などの低水温時になりやすい病気です。今のところはっきりした原因は解明されておらず、先述の低水温での飼育や急激な水温水質変化、水質悪化などに起因して発生することが多いです。また、当歳の個体を何年か飼育している個体と混ぜて飼育すると発生することがあります。症状としては、名前の通り生体が水槽の中で眠ったように底の方で横たわっていたり、横になったまま水槽内を浮遊したりするようになります。生存を確かめるために、容器を叩いてみたり網で掬おうとすると慌てて泳ぎだし、少し経つとまた横たわってしまいます。放っておくと死に至るケースが多いので、すぐに治療を開始してください。治療方法は、0.5%の塩水による塩水浴と26~28℃の昇温治療が有効です。また、以下の薬による薬浴も並行して行ないましょう。早ければ約2週間くらいで治りますが、その間、始めの1週間は給餌をしない方が良いとされています

観パラD細菌感染症(穴あき病)の治療に。 本品1mlを水量10Lの割合で薬浴する。薬効は10~14日間
エルバージュエース細菌感染症(皮膚炎、穴あき病、尾ぐされ病等)の治療に。本品0.5gを水量約60Lの割合で薬浴する。薬効は2~3日間

眠り病について

眠り病は一度罹るとその後は発症しにくくなると言われています。所説ありますが、眠り病の原因はウィルスであるとされ、一度発症し回復した錦鯉には強力な免疫ができるため、その後は発症しなくなるという説です。実際、錦鯉の養魚場などでは当歳の錦鯉たちをわざと一度眠り病に罹らせて回復させることで免疫をつけてから出荷するということを行なっている業者さんもいます。ただ、そういった個体はキャリア(保因鯉)と呼ばれ、体に原因となるウィルスを持っているので、今まで眠り病に罹ったことのない個体と一緒にしてしまうとほぼ100%感染してしまいます。したがって、新しく錦鯉を迎える場合は

① 「今飼っている個体が眠り病に罹ったことがあり、免疫があるか」

② 「新たに購入した個体が一度眠り病に罹ったことがあり、キャリアとなっているか」

を必ず確認しましょう。

当店で扱う個体は、業者さんの方で一度眠り病から回復させている個体を入荷しています。お家の錦鯉がキャリア(保因鯉)でない場合、感染のリスクがありますのでご購入の前にあらかじめご確認をお願い致します

カラムナリス症

カラムナリス菌という細菌による病気で、錦鯉の各ヒレや口周り、エラや体表に白黄色の付着物が発生し、“尾ぐされ病”、“鰓ぐされ病”、“鰭ぐされ病”、“口ぐされ病”などと呼ばれます。白黄色の付着物は菌のコロニー(細菌細胞の塊)で、患部の細胞はだんだんと壊死しボロボロになっていき、感染した個体は食欲が低下したり泳ぎが緩慢になり、やがて死亡してしまいます。20℃以上の比較的高水温時に発生しやすく、感染力も非常に強いため、発症した個体と同じ容器で飼育している個体は感染している可能性が非常に高いです。治療法としてカラムナリス菌は塩分に弱いという性質があるので、塩水浴が有効です。0.5%の塩水での塩水浴と下記の薬による薬浴を同時に行いましょう

観パラD細菌感染症(穴あき病)の治療に。 本品1mlを水量10Lの割合で薬浴する。薬効は10~14日間
グリーンFゴールド白点病、水生菌症、尾ぐされ症状ならびにスレ傷の治療と予防に。 本品50mlを水量約60Lの割合で薬浴する。薬効は5~7日間
エルバージュエース細菌感染症(皮膚炎、穴あき病、尾ぐされ病等)の治療に。本品0.5gを水量約60Lの割合で薬浴する。薬効は2~3日間